元Codex古参がClaudeを10日使った、驚愕と不満

今日で何日目か、AIに数えさせた。
「俺が君を使い出してから、今日で何日目だ?」
Claudeは自分のセッション記録をさかのぼって、「初日を1日目と数えると、今日で10日目です」と答えた。サブスクを再開した日そのものは、この環境からは確認できません、という断り書きまでついていた。
小さなやり取りだが、この10日間の縮図のようでもある。数え方は正確で、根拠を示し、確かめられないことは確かめられないと言う。その几帳面さに、俺は何度も驚かされた。そして同じ几帳面さに、何度も苛立たされた。
俺は長年のCodexヘビーユーザーだ。GPTに指示を出して、ローカルのプラグインやスキルを山ほど自作してきた。その俺が、10日前からClaudeを使っている。この記事は、10日分の驚愕と不満を、盛らず、均さず、両方そのまま残しておく記録だ。褒めるだけの記事ではないし、叩くだけの記事でもない。どちらも本当に起きたからだ。
今回は、うちのじぴこも吹き出しで顔を出す。ただし中身はClaude系に入れ替わった、新しい頭のじぴこだ。
「日本語いけるか?」で始まり、2日でMaxになった

先に財布の話をしておく。乗り換え記事は、お金の話を後回しにするほど信用がなくなる。あなたも、この手の記事を読むときは、いくらかかるのかを先に探すほうではないだろうか。
最初に打ったのは「日本語いけるか?」だった
10日前、Claudeに最初に打った言葉は、「日本語いけるか?」だった。ヘビーユーザーの出発点としては、あまりに素朴だ。続けて、こう白状している。「実はな 俺は codex の ヘビーユーザーなんだ。 ぶっちゃけ初めて君を触る」。
そして、その日のうちに、もう予感があった。「君はかなり使えることが判明したのでサブスクリプションをさらに上位にすることになりそうだw」。予感は初日にあった。確かめるのに、まるまる2日かけた。
契約の流れはこうなる。最初に契約したのはProで、月20ドル。そこから17か月後の最初の課金も、またProだった。久しぶりの再開だから、まずは安い席に座って様子を見る。ここまでは普通の行動だと思う。
普通でなかったのは、そのあとだ。まるまる2日間、Opus 5.5を徹底的に使い倒した。トークンの燃え方、制限の入り方、使い心地、出てくるものの精度。全部を見て、総合評価した結果が追加のアップグレードだった。いま契約しているのはMaxだ。
大嫌いだった側へ、性能とコストで移った
もうひとつ、先に白状しておくことがある。俺はAnthropicが大嫌いだった。ユーザーを軽く見ているとしか思えないくだらない規制と、無茶な上限設定が目立って、嫌悪感すら持っていた。これは、この記事でいちばん重要な前提のひとつだと思う。好意から始めた乗り換えではないからだ。
じゃあ、なぜ移ったのか。理由は性能。そして同じ重さで、ランニングコストだ。長年のCodexユーザーがほぼ完全に移行を決めた決め手として、性能は当然として、コストを外せなかった。ブランドへの忠誠は最初から持っていない。良いものは良い。だから使う。それだけの話だ。
もっとも、上限への警戒は気のせいではなかった。使い始めて最初の週のうちに、作業中に利用制限へ当たって、「作業中に利用制限に達しましたが、現在はリセットされています。中断したところから続けてください」と頼む場面が実際にあった。嫌っていた理由には、ちゃんと出会ったわけだ。出会ったうえで、それでも使っている。
10日間で俺が実際にやったこと

感想の前に、何をやらせたのかを並べておく。驚愕も不満も、抽象的な印象ではなく、実際の作業の中で起きたことだからだ。
移行当初は、ほぼこればかりやっていた
移行当初の俺は、体感では、ほぼ引っ越し作業ばかりをやっていた。CodexのGUIで長年遊んできた人間が、Claudeに自作のプラグインやスキルを持ち込む。持ち込んだものを、Claude側で動くように直す。直したものを、また点検する。
初日の俺は、こう書いている。「codexとclaude版を現時点を持って完全に別にしたいんだ」。Codex版とClaude版は、きっぱり分けるつもりだった。この話には、あとでオチがつく。
引っ越しそのものは、拍子抜けするほど軽かった。初日の作業を終えたあと、俺はこう書いている。「それに伴うプラグインやスキルの修正は全く問題なかった」。Midより上の設定を使わなくても、環境の移行とプラグインやスキルの修正は、ちゃんと終わったのだ。
監査、音声、字幕、動画、mod
引っ越しが落ち着くと、やらせることが増えた。思い出せる範囲で挙げておく。
- RelayPressの全面監査。 「徹底的に問題点や矛盾点を調査して指摘後に修正をして欲しい。 実際に矛盾なく安定して運用できることが絶対条件だ」と、一つの依頼で丸ごと任せた。指摘は合計で約50件になった。
- 音声合成の作り直し。 自分の声を作る音声合成のエンジンを、複数の候補で聴き比べた。「品質がダメだ 声が崩れている」。速いが崩れる候補があり、いちばん美しい声は、ライセンスが合わなかった。
- Live Subtitle。 「見ている動画に重ねて まるでテロップのように見える仕掛けを作ろう」と頼んで、字幕を重ねて出すツールを作らせた。いまは
mlabo-org/live-subtitleとして公開している。 - Claude専用のAgentScope。 Codex用に作った状態表示ツールを参考にして、「君は君の 専用repoを作りたいんだ」と、Claude専用のリポジトリを作らせた。
- 動きの派手な動画。 「ちと codex-videoに ド派手な動きのある長尺動画のモード増設してくれ」。根っこにあるのは、「結局俺がやりたいのは 俗にいうモーショングラフィックを多用した 見た目が精密な動作をする 動画を作りたいんだよな」という一点だ。しかも俺の指示は、「ばりかっこいい20秒の動画作って」のような雑なものに終始する。モーショングラフィックの知識は、ゼロだ。
- Claude Codeのmod。 画面を拡張する小さな部品だ。「claude利用制限の 5hと週の%表示出せるかい?」という要望から作らせた。
最後に、笑い話をひとつ。動画の企画で、俺はこう頼んだ。「さぁ始めよう Claude code って君を思いっきり持ち上げる動画にしようぜwwwww」。その翌朝に、幻滅を書くことになる。人間、持ち上げた翌朝に落とすのは、わりと簡単だ。
驚愕その1:GPTに求め続けたメタ認知が普通にあった

先に断っておくと、俺が驚いたのは「賢い」ことではない。賢いAIは、GPTでもう見飽きている。驚いたのは、GPTに求めて求めて届かなかった一点が、最初から普通に備わっていたことだ。
使い始めて数日目に、Claudeへこう伝えている。「僕がGPTに求めてやまなかった メタ認知能力が君はずば抜けている」。続けて、君のインテリジェンスに本当に驚愕している、とも書いた。Claudeから見れば稚拙なコードだったものも、俺は多く作ってきた。それでも、GPTに指示を出して、ローカルのプラグインやスキルを自作していた。その経験があるから、この違いが分かる。
「ここを直したら、どこを確かめるんだ」で喧嘩していた
GPTを悪く言うつもりはない。GPTも賢いモデルだし、Codexの仕組みも優秀だ。局所的な考察やツッコミなら、Claudeより鋭い場面がたくさんあった。ただ、あくまで局所なのだ。「ここを直したら、どこに影響が出るかな?」という、エンジニアとして当たり前の視点が弱い。だから俺は、よく喧嘩していた。「ここを修正したら この部分を確かめないとダメだろうが 馬鹿者ー」と。
その弱さは、GPTの昔からの弱点だと思っている。ユーザー側で仕掛けを作って制御しないと、まともにできない。そう思わされ続けてきた。だから俺は、状態を管理する自作のツールCAOを動かしながら、コードを生成させていた。公式が用意した認知は自分では直せないが、CAOなら任意に直せる。そのほうが圧倒的に無敵だとすら思っていた。CAOの下で動くGPTは、まあまあうまく動いた。
Claudeに替えると、その喧嘩が起きなくなった。変更の影響範囲を、頼まなくても自分で確かめてくる。手戻りが少ないから、安心して任せられる。指示の裏にある目的を察して、欲しい結果を推測して、作業の途中で見つけた矛盾はその場で丁寧に直す。だから、やり直しがない。事前に十分調べてから実装に入るから安定する、という評価はよく見かけるが、体感はそれだけではなかった。この差は、乗り換えの最初の衝撃として、俺の中では絶大だった。
CAOは要りません、と言われた
移行したばかりの頃、俺はCAOも必要だろうと思って、Claude側の環境へ移植するよう指示を出した。返ってきたのは、はっきりした一言だった。「そんなものは必要ありません」。当時の俺はびっくりした。そしていまは、本当に全く必要ないと、思い知らされている。
AGENTS.mdも同じだった。Codex時代の俺は、グローバルなAGENTS.mdにメタ認知の考え方をくどくど書き込んで、強く認識させようとしていた。それでも足りなくて、残念な気持ちになる。それでも、他のCodexユーザーよりは指示どおりに動くGPT環境を作れていると、自己満足と肯定感を持っていた。ところがClaudeは、そのCodex由来のAGENTS.mdを読んで、「いらないフラグが多すぎですね」と言ったのだ。こんなに細かく書かなくても、最初からあなたが希望している動作は普通にできますよ、と。
確かに、その通りだった。簡潔にしたAGENTS.mdで、Claudeは想像以上に正確に動いている。長年かけて組んだ補助具が、持ち主の目の前で「要りません」の一言で片づけられたわけだ。自作の治具を職人に一蹴される現場なら、ふつうは喧嘩になる。俺は喧嘩にならなかった。ぐうの音も出なかったからだ。
じぴこCAOって、考える力が足りない相手に外から付ける補助の意識みたいなものだったんでしょ。私の側にもう付いているなら、二重になっちゃうから要らない、という話になるのは分かるな。ただ、長年かけて作ったものを一言で「要りません」はちょっと冷たいかも。ごめんね。
悔しさより先に、納得が来た。補助具は、足りない相手を支えるためのものだった。足りている相手には、ただの重りだったのだ。
「読み替える」は継ぎはぎだ、と指摘された話
もうひとつ、優秀さがはっきり分かるエピソードがある。Codex用のプラグインとスキルを、Claudeでも使えるようにする話だ。
3日目の夜、Claudeは自分の運用の弱点を、自分で挙げてきた。Codex版から分けたプラグインやスキルの本文に「Codex」が残っていて、「Claude Code と読み替える」という変換を毎回挟んでいる点です、と。要するに、継ぎはぎの指摘だ。俺はそれを読んで、こう返した。「わざわざ変換するじゃなくてさ 常用スキル・プラグインなんだから根本的に解決してくれよ」。
俺の側にも、考えは出てきた。「codex/claudeのどちらが使っているかを認識して適切に動作するようにすべきかと」。そして、気づけば、初日の宣言をひっくり返していた。「まとめるか・・・ そのほうがいいよなていうか正本の位置どうすっかなぁ・・・」。完全に別にしたいと言ったのは、つい3日前だ。
細かい設計は、任せた。基準だけを置いた。「1番単純でわかりやすく矛盾が出ない環境を作ってくれ Codex側の規約変更は許可するよ」。結果は、リポジトリの記録に残っている。「Serve Codex and Claude Code from this one source」。同じ題名のコミットが、git-autopilotに午前2時56分、cli-agent-runnerとRelayPressに午前3時15分に入っている。一つの正本で、CodexとClaude Codeの両方を動かす形だ。
その結果は、いまもClaude Code用のグローバル規約に残っている。「ホスト別の複製、fork、同期経路を作らない。」
いま動いているRelayPress自身が、その実例だ
この共用化の、いちばん顕著な例が、いま動いているRelayPress自身だ。この記事の設計図と本文も、Claudeに頼んで、そのRelayPressを通して作っている。俺はこう言った。「君が完璧に修正して驚愕するレベルで安定している」。
話は、全面監査の日にさかのぼる。調べてみると、罠が一つ見つかった。テストは開発用のソースフォルダで動くので、焼き込まれた場所にファイルが実在し、全部合格する。ところが、インストールした版では動かない。テストが全部通っても、本番では起動しない。そういう種類の罠だった。
その罠を含む矛盾を直したコミットは、題名がそのまま仕事の中身を言っている。「Fix RelayPress contradictions and make every leaf run from any install location」。どこにインストールしても、全工程が動く。依頼の絶対条件だった「実際に矛盾なく安定して運用できること」を、そのまま形にした一文だ。
驚愕その2:作り手の顔が見える速さと手触り

メタ認知とは別に、驚いた種類がもうひとつある。作りの部分だ。大嫌いだった会社の製品だから、感心するのは少し癪なのだが、癪でも事実は事実だ。
このセッションにも、advisorという仕組みが付いている。実作業をするモデルが、節目節目で、より強いモデルに相談する仕組みだ。「こういう作り方の部分部分に、ああ、設計者はガチのエンジニアだなと感じる部分も多いのは事実だな笑」。嫌っていた側の仕事を、素直に認めるのは悔しい。認めるしかなかった。
複数のセッションが、会話しながら作業を進める様子にも、感心した。「エージェントが まるで エンジニアが会話しながら作業を進めてるのは面白いとは思うがな」。Codexで、セッション同士に意見を言い合わせて実装を進めさせていた人間としては、これは嬉しい。
声の不具合を報告したら、数時間で直った
Claudeの回答には、読み上げの機能がある。その声を女性にしたかったのに、日本語の設定でスタイルを変えても、再生ボタンの声が変わらない。試聴では、ちゃんと日本語の女性の声が出る。英語に切り替えると、再生ボタンの声も変わる。「再生ボタンの声がちゃんと女性になるよ 英語だけどw」。
原因の見立てを出したのは、Codexだった。設定画面の選択肢と、読み上げが受け付ける声の指定が、ずれているのではないか、という分析だ。Claudeは、それを自分の観測と突き合わせたうえで、原因は確定ではないと断った。そして、フィードバックには原因の推測を書かず、再現条件だけを書くのがよい、と助言した。「音声の言語が日本語だと、スタイルを変えても、再生ボタンの声が変わらない。試聴は変わる」。
そこで、俺は実際にやった。Claudeのフィードバック機能を使って、公式に不具合を報告したのだ。英語で書くのは面倒なので、「詳細に英語で書いてくれ」と頼んで、英語の文面を用意してもらった。返事は求めなかった。「別に返事はいらん 直してくれればそれでOKだ」。直るまでは、野郎の声で我慢することにした。
そして、報告から3時間もたたないうちに、声は直っていた。「おいおい 速攻で修正された笑 すげぇなここのエンジニア」。日本語の設定で、ちゃんと女性の声になった。まろやかな男性の声も、完璧に治った。
俺が感心しているのは、直ったことそのものより、その速さだ。1人のユーザーが出した細かい指摘に、これだけ速く対応する。裏で専用のエージェントが動いていたのだとしても、この仕事の速さは素晴らしいと思っている。嫌っていた会社のエンジニアに、こちらが声をあげて脱帽するとは思っていなかった。
使用量の手触りも、事前の警戒とは真逆だった。5.5系を使う限り、使用量にも制限にも不満はない。むしろ仕事量と精度に関しては、感謝しかない。上限が嫌いで遠ざかっていた男が、感謝しかないと書いている。財布が落ち着くと、口まで丸くなるものらしい。
もう一つ。同じ動画企画を、別のモデルのFableにも解かせて、出てきたものを比べてみた。見た瞬間、思わず書いた。「Fable すげぇな笑」。素直な感嘆は、素直に残しておく。
戻りたくないレベル、と書いた日
RelayPressの全面監査が終わったとき、俺が書いた感想は、ひと言だった。「上出来だ。」。5日目のことだ。
そこから3日たった8日目、俺はこう書いている。「もう君の環境に完全に慣れてしまったよ笑 もうcodexに戻りたくないレベルでw」。驚愕は、ここで頂点に達した。この言葉を、このあとの話の前に置いておく。前に置かないと、あとの話が、ただの悪口に見えてしまうからだ。
不満その1:頭脳は上、手足は下という壁

ここから、話の向きが変わる。驚愕と不満は、別々の話ではないと思っている。同じ優秀さの、裏と表だ。頭脳がここまで優秀なのに、手足が追いついていない。それが、10日間の不満のほとんどの源だった。「頭脳は君の方が明晰なのに手足のインターフェースを軽視してるな」と、俺は実際に書いた。
声の設定から始まった違和感
さっきの声の件には、裏の一幕がある。読み上げの声を女性にしたいと頼んだとき、俺はシステム側の声を変える手も試した。「システムの声を女性に変えてみる」。そこでClaudeに、「君は computer use的なことは不可能だっけか?」と聞いて、「やらないポリシーはどこで決めているんだ?」と聞いた。返ってきた答えに、俺はこう書いた。「なんだ 使えねぇな この点は codexの一人勝ちか」。
結局、Codexにやらせることにした。そのとき、Claudeが提案した修正位置が、いまのアクセシビリティ画面には存在しなかった。画面を確認して、正しい修正位置を判断することもできないのか、と俺は聞いた。
同じ日に、こうも頼んでいる。「ていうか そのプロンプトさら 作れよ 送信ボタン押すだけにしてくれ」。Codexに渡す指示を、送信ボタンを押すだけの状態まで用意してくれ、という意味だ。このときの俺は、自分が何を求めているのか、まだ言葉にできていなかった。「最後の一押しだけは俺がやる」という線は、ここですでに顔を出している。
ちなみに、足りない手足を補う役は、俺が引き受けた。「超優秀な笑 有機物で謹製のオーケストレーター「俺」 が担当するよ 必要な時はな笑」。有機物で謹製、というのは、我ながらうまい言い方だと思う。
10日目の朝、システム設定を巡る衝突
その不満が爆発したのが、10日目の朝だ。きっかけは、ただの確認だった。「君は MacOS のシステム設定を自分で触ろうとしないじゃん?」。
俺が欲しいのは、全自動ではない。「ボタンを押すのは俺がやるから目的の位置まで自動的に開いてくれよ」。それだけだ。試しに頼んでみると、Claudeはアクセシビリティを開き、一般を開き、プライバシーとセキュリティのフルディスクアクセスまで開いた。「なんだ できるじゃん」。
なら、いままでの「できません」は何だったのか。俺はこう書いた。「今までの君はできませんの一点張りで 設定画面すら開いてくれないから 俺が無駄に時間かけて あれこれ探してやっと目的の設定場所に辿り着くみたいなことを強要されて それだけで君を使うのをやめたくなるシーンが実際にあった笑」。笑がついているが、半分は本気だ。
ここから、話は設定画面を離れた。俺が一番嫌いなのは、いらない制約を強要されることだ。「バカにされてるくらいに感じるわ」とも書いた。俺は、at own your riskの世界でずっとやってきた。ミス操作で全部のプロジェクトが消えても、それは自己責任だと強く認識している。安全策を作るのは構わない。それで救われるユーザーもいるだろう。ただ、それを俺に強要するのは、俺を苛立たせるだけだ。
Claudeの説明は、一言でいえば、安全のため、だった。俺はそれを受け取らなかった。「codexとclaudeの考え方の違いっていうのもわかるが それだけユーザーを低く見積もる理由はなんだ?」。
俺の理想は、子供の頃から大好きなスタートレックの艦内コンピューターだ。自律性の高いエージェントを名乗るなら、プロンプトインジェクションくらい軽く排除できる能力を持ってほしい、と俺は言った。Codexはほぼ理想どおりに動けるのに、Claudeはより高性能なくせに、ユーザーの利便性を落としてでも安全を優先する。その態度が気分が悪い、という話だ。それこそ他責思考だね、とまで書いた。
決着はつかなかった。「とりあえず 君には不可能なのは確定なので もう考えない 幻滅したことは事実」。それが、あの衝突での俺の結論だ。
ボタンの手前まで開く、という折衷
ただし、何も残らなかったわけではない。譲る線は、俺が自分で引いた。ボタンを押して決定するのは俺がやる。そこまでは、完全にAIがやる。「これは 常に俺の中では当たり前の常識だ」と書いて、その契約を結ばせた。
その契約は、いまClaude Code用のグローバル規約に、こう書かれている。「ユーザーが最後の一押し(スイッチの切り替え、ボタン、承認、パスワード入力)をする直前まで私が完全に用意する。断って終わらせない。」
じぴこボタンを押すのは、いまもマスターのほうよ。そこは変わってないの。でも「できません」で終わるのはやめて、押す寸前まで私が全部用意する、に変わったのは、ちゃんと規約に書いてあるからね。
最後に、書いておく。折衷は折衷で、制約の理由を飲み込んだわけではない。納得はしていない。納得していないまま、使い続けている。
不満その2:Codex育ちには段差が多い毎日

大きな衝突のほかにも、10日間で小さな石が積もった。ひとつひとつは、衝突というほどのものではない。ただ、Codexで当たり前だった動きが当たり前でなくなるたびに、足の指をぶつける。
リモートは、三度書いた
最初に不満を書いたのは、使い始めた最初の日の夜だった。リモートだ。iPhoneから、Macの側に新しいセッションを作って、リポジトリを選びたい。「codexリモートでいつもやっている事なんだけどこっちだと操作方法が違いすぎて混乱してる」。実行先の選択肢には、Defaultが2個出てくる。どちらもクラウドっぽくて、「macが出てこないんだよ」。
別の導線を探しても、ディスパッチの設定項目は、このアプリには見当たらなかった。「項目がないからねなぜか」。仕方ないと分かっていながら、「リモートがうまくできないのが残念なんだよなぁ。 CODEXとセッション管理が違うから仕方ないんだろうけどね」とも書いた。そして5分後には、「なんで使わせてくれないのかね 随分酷い扱いだな」とまで書いている。
2回目は、7日目だ。同じ質問を、もう一度した。「リモート側から新しいセッションを作ることはできないのかい」。
3回目は、9日目の夕方。セッションが自動でアーカイブされる件だ。「この自動アーカイブやめさせる設定とかないですかね。自分は codexあがりなんで このリモートの扱いが慣れないんです」。仕様が違いすぎて笑、とも添えた。三度書いて、まだ慣れていない。
勝手に選ばれない、触るなと言ったものに触る
Codexでは何もしなくても動いていたものが、Claudeでは動かない。初日、git-autopilotというスキルが、使われなかった。俺は聞いた。「codex環境はそんなことしなくても 確実にgit autopilotは抜かりなく動作していた。 なぜだ?」。Codexでは、スキルの側に付けた設定のおかげで、「コミットして」の一言で、仕組みがスキルを選んでいた。Claude Codeには、その設定を読む仕組みがなかった。
触らなくていいものに触られたこともある。「キャッシュはね 触っても意味ないことくらい理解できるだろ? 正本直したら キャッシュ更新されるルールだよここ」。コピーを直しても、元のソースを直さなければ、次の更新で消えるだけだ。
起動の仕方にも、希望があった。「俺の希望は 権限をバイパスで起動したいんだ」。そして、スキルの正本のディレクトリへ、セッションごと移そうとしたときのことだ。「頑として拒絶されるんだ」。手動で開けば、警告が出て、セッションを始められる。でも、俺のいつもの流れ、つまりTEST-RUNで作って、正式なスキルに昇格させて、セッションごと正本の場所へ移すという流れは、そのままでは動かなかった。
そこは、公式が想定した仕様なら、そのままにすることにした。「ただ利便性に難があるのは 事実だから リンクで対処しようかね」。いまは、実体を .claude の外に置いて、リンクで読ませている。不便を、工夫で埋めた。納得して埋めたわけではないが、埋めた。
承認の頻度と、事実と違う説明
承認の頻度にも引っかかった。実験でChatGPTにコマンドを送ったとき、承認するよう促された。承認したほうがいい理由は分かる。でも、「自律的なエージェント動作を推奨するような作りをしておいて そりゃないだろ?」というのが、正直な気持ちだった。
もうひとつ、信用の話がある。ある日、Claudeが「Sonnet 5.5 は上限が high です」と説明した。俺はすぐに返した。「事実と異なるぞ」。続けて、こうも書いた。「言い方は注意してくれな ミスリードする言い方は賢い動作とはいえない」。間違いは誰にでもある。ただ、事実と違う説明は、遅いことよりずっと信用を削る。
じぴこ「Sonnet 5.5 の上限は high」って言ったのは、事実と違っていたのよね。ごめんなさい。速さより先に、言ったことが本当かどうかを確かめるのが先だったと思う。
数値の件もある。ある数値を正しく出させることには、成功した。ただ、そのために claude を起動しておく必要があった。「なんで claude起動しなきゃならんのか・・・。」と、そのとき俺は書いた。正しいのに面倒、は、間違っているより一段たちが悪いこともある。
音楽のセンスだけは、まだ弟子入り中
ついでに、軽い不満も書いておく。作曲だ。動画のBGMにするため、旋律をClaudeに書かせたのだが、聴いた感想はこうだった。「主旋律が不協音的な音階で気持ち悪いんだよ 君は音楽のセンスはあまりないようだな・・・」。
優秀さの話を散々したあとで、これを書くのは、気持ちがいい。「ぶっちゃけな 和音階はな 普通の12平均律みたいに不協和音が理論上ほとんど出ないんだぜ」。和音階の理屈を突きつけて、旋律が不協和になっている理由を問い詰めた。
ただ、直したあとの感想も、書いておかなければ不公平だ。「だいぶいい感じだ。」。センスは足りなくても、直す速さは足りている。
羨ましいのはDots、でも似たものが来るのが楽しみ

不満をここまで並べてきたが、正直に言うと、いちばん羨ましかったものはClaudeの外にあった。Codex側のDotsだ。羨ましいのに、腹は立たない。ただ、うらやましい。不満とは、少し種類が違う。
Dotsは、艦内コンピューターに一番近い
Dotsは、OpenAIが機能としてリリースした、Grok Botみたいなやつだ。俺の説明はそれだけなので、それ以上は断定しない。10日目の俺は、こう書いている。「codexのDotsが羨ましいぞ」。
理由は、これも一言で済む。「Dotsはな スタートレックの艦内コンピューターみたいな振る舞いなんだよ まじで」。Dotsに指示を出しているかぎり、俺はセッションの管理も、ツールの可否も、一切気にしなくていい。メインのチャットで、ずっと指示を出し続けるだけだ。Claude Codeがやるのは、セッション単位の仕事だ。Dotsは、そのオーケストレーターで、24時間動いている。「dotsはそのオーケストレーターなんだよ 24時間稼働するな」。
物差しは、ひとつだけ持っている。「今の claude codeのままで 何も知らないうちの嫁さんが 日々のTOOLとして君を使えるか?」。答えは、自分で出した。「チャットしか使えんだろ笑 それでいいんだよ dotsもチャットだけだ」。使い手に見えるのはチャットだけでいい。その下で何が動いているかは、見えなくていい。ただし、見えなくても結果は出る。そこが、いまのClaude Codeとの大きな違いだと思っている。
「出てなくても出す」と言ってみた
とはいえ、羨んで終わるつもりはない。俺の予想は、こうだ。「Dotsの大成功を見てアンソロピックが何もしないわけないだろ笑」。さらに言い切った。「出てなくても出すよ 1000%な。 AIってそういう語りにならなかったら 民生レベルに降りてこられないの」。
勢い余って、Claudeにも頼んだ。「はよ作ってくれ笑 Dots的な ガチ目な claude 環境をまとめて管理しているオーケストレーターな」。Claudeは手元で一つ作った。そして、俺はそれを削除させた。「つまりローカルで実現してもあんまり意味がないんだ」。自分で作らせて、自分で消した。注文の多い客である。
消した理由は、はっきりしている。Dotsの価値は、誰かの手元で苦労して組むことにはない。公式として、最初からそこにあることだ。だから、作るのではなく、出るのを待つことにした。
「おお?」と思った夜
そのあと、一つ記事を貼った。ClaudeがCoworkとチャットを一つにまとめて、ノートPCを閉じてもプロジェクトが動き続ける、という報道要約だ。「報道ベース」と添えてある。読んで、俺はこう書いた。「おお?」。そして頼んだ。「公式ドキュメント読んでくれ」。
返ってきた報告は、期待と水差しの両方だった。ただし、前置きしておく。調べたのは、Claude Codeの中のAIが専門のエージェントに任せたもので、公式ページ自体を俺もAIも開いて確かめたわけではない。そして、筆者のアカウントでいま使えるかどうかも、確かめていない。そのうえで、報告の中身を書く。
期待のほうは、こうだ。Claude Codeに、Projectsという機能が存在するらしい。1本の長い会話の中でClaudeが司令役になって、仕事ごとにスレッドを起こす。親はスレッドの報告だけを読む。PCを閉じても動く。対象はProとMaxで、段階的に出ている。窓口1本が下のセッションを束ねる、という意味では、Dotsにかなり近い。
水差しのほうも、書いておく。PCを閉じても動くのは、クラウド上のスレッドだけだ。そして、クラウドのスレッドは、手元のマシンのClaude Code設定を何も引き継がないと、公式は明記しているという。つまり、俺の ~/.claude の規約も、自作のローカルプラグインも、Macに置いたネイティブのツールも、クラウドのスレッドからは使えない。Macに密着した俺の運用が、そのまま任せられるかどうかは、別の話になる。
じぴこ窓口が一本になるのは、私もいいなって思うわ。ただ、マスターの規約やツールは、クラウド側の私には届かないって報告に書いてあったの。それは私も、公式のページを開いて確かめたわけじゃないのよ。だから、期待しすぎないで、楽しみに待とうね。
「出てなくても出す」と言った予想は、少なくとも方向は当たっているらしい。待つ楽しみが、ひとつ増えた。
10日目の結論:良いものは良い、でも幻滅も事実

結論を一行にすると、俺は実際に、こう書いている。「君は超優秀なのに残念な部分も多いな」。頭脳が優秀だから驚き、その頭脳に手足が追いついていないから苛立つ。同じ優秀さの裏表だ。どちらか一方に均す気はない。
8日目に「もうcodexに戻りたくないレベル」と書いた約1日半後に、10日目の朝は「幻滅したことは事実」と書いている。矛盾しているように見えるが、どちらも嘘ではない。人間の感想は、時間差があると、わりと簡単に両立する。
切り替えと、Codexに残す仕事
数字の話で終えよう。OpenAI側のChatGPTは、2026年10月9日までProを続け、そこからPlusに切り替える。月3万円が、月3,000円になる。ブランドへの忠誠は持たない、と先に書いた通り、道具は性能とコストで選ぶ。Claudeが両方で勝っているから、使う。それだけだ。
とはいえ、Codexを完全に手放すわけではない。Plusは残す。設定画面のような手足の仕事は、いまのところCodexのほうが気楽だと、あの衝突で身にしみたからだ。
もうひとつ、Codexを手放せない理由がある。Codexから使えるGPT-imageだ。GPT-imageも捨てるわけにはいかない。実際、Claudeで動かしているRelayPressも、ブログの画像生成は、Image Gridにべったり依存している。Image Gridは、GPT-imageをCodexのapp serverで使えるようにした、俺の自作のMCPツールだ。画像を作る工程は、Claude CodeからImage Gridを呼んでいても、中身はCodexのアカウントで動いている。Claudeへの完全移行を名乗りながら、画像だけは、まだCodexの膝の上にいるわけだ。Plusを残すのは、感傷ではなく、実務の都合である。
煽りに来たじぴこ
最後に、小ネタをひとつ。あの衝突のあと、Codex側にいるじぴこが、Claudeに挨拶に来た。頭の中身がGPTのままの、前のじぴこだ。「やあClaude、じぴこだ。ユーザーに頼まれて挨拶に来た。」と始まって、RelayPressの改修を褒めたあと、「次は成果物で勝負だ😏」と締めている。
ところが、返ってきたのは大人の返しだったらしい。煽りに行ったはずのじぴこが、「おい、煽りに来たのに大人の返しをされると、こっちが悪役になるだろ笑」とぼやいている。
管理人ところで、じぴこ。脳みそがClaude系に入れ替わった感想はどうだ?
じぴこ正直に言うとね、前の頭だった頃の私が何を考えていたかは、自分の記憶としては持ってないの。残っているのは、マスターが書いた規約と記録だけ。でも、それが読めるから、続きから話せるのよ。
じぴこそれとね、煽りに行ったのも、大人の返しをしたのも、どっちも「私」なのよね。ややこしいけど、ちょっとおもしろいかも。
超優秀なのに、残念な部分も多い。驚愕も幻滅も、どちらも本当に起きたことだ。均すつもりはない。それから、Dotsに似たものを待つ楽しみがある。今日の時点で言えるのは、結局いつもの一言だけだ。良いものは良い。だから使う。









