Git GUIツール「Fork」入門|初心者にやさしい高機能Gitクライアント

はじめてGitを触ったとき、うっかりgit reset --hard
を実行してしまい、コミット履歴ごと吹き飛ばしたことがあります。
手元の変更がすべて消えたあの瞬間、どこをどう巻き戻せばよいのか、視界も思考も真っ白になったのを今でも覚えています。
普段はCUIを中心にGitを運用していますが、履歴の可視化や差分の確認といった“瞬時の判断”が求められる場面では、GUIの存在が本当に心強いと感じます。 とくに「Fork」は、視覚的にわかりやすく、直感的に操作できるインターフェースが特徴で、初心者にとってもGitの構造を学びやすいツールです。
この記事では、Forkの魅力や導入方法を、過去の失敗や普段の運用経験を踏まえながら、初心者にも伝わる視点で紹介していきます。
Forkとは?|シンプルかつ高性能なGit GUIツール

Fork(https://git-fork.com)は、クロスプラットフォーム対応の軽量Gitクライアントとして、多くのユーザーに支持されています。 Gitの仕組みは柔軟で強力ですが、慣れないうちは操作の“見えなさ”がハードルになります。Forkは、そうした視覚的な不安を取り除きつつ、上級者でも満足できる機能性を備えたGit GUIツールです。
基本無料で導入でき、Windows/macOSのどちらでも動作。RebaseやStashといった高度な機能までカバーし、CUIに頼らずにGitの全体像を掴むことができます。
Forkの基本情報と特徴
Fork は、クロスプラットフォーム(macOS/Windows)対応の高機能Git GUIクライアントです。以下は最新の大きな特徴です:
- クリーンかつ直感的なUI:ブランチ構造や差分が視覚的に把握できる。特に画像diffも一目瞭然
- 高度なgit操作に対応:Rebase(インタラクティブ)、Cherry‑pick、Stash/Submodule操作等すべてGUIから可能
- マージコンフリクトの視覚的解決支援:専用UIによるわかりやすいインライン比較
- 画像diff対応:一般的な画像フォーマットの差分を視覚的に比較
- 通知統合:GitHubなどの通知を控えめに表示
- 内蔵ターミナル:CUI と GUI を併用しやすい連携設計
また、UIカスタムコマンドの作成機能により、自分用操作(プッシュ、タグ、検索など)をUI上で定義できるようになり、より柔軟に拡張が可能です。
Forkの「画像diff対応」機能とは?視覚的に画像の変更点を確認できる便利ツール
Git用GUIツール「Fork」には、テキストファイルだけでなく画像ファイルの差分も視覚的に比較できる「画像diff対応」機能が搭載されています。特にPNGやJPEGといった形式の画像が変更された際に、変更前後の画像を並べて表示(サイドバイサイド)することが可能です。
この機能は、コードレビューだけでなく、デザイナーとの共同作業やUI素材の更新チェックなど、非エンジニアにも非常に便利な比較手段として利用されています。
以下に、Forkの画像diff機能の主な特徴をまとめます。
- 画像ファイルを変更前と変更後で並べて表示(サイドバイサイド)
- 対応形式:PNG/JPEGなどの一般的な画像フォーマット
- 外部ツールなしでFork単体で利用可能
- Windows/Macの両方に対応(ver.1.23以降に実装)
他の主要なGitツールとの比較も参考にしてください。
ツール名 | 画像diff対応 | 備考 |
---|---|---|
Fork | ◎ 内蔵で表示可 | 設定不要、即利用可能 |
Sourcetree | △ 外部連携要 | 一部Mac対応、Winは制限あり |
P4Merge等 | ◎ 高機能 | 重ね合わせ表示なども可能 |
対応OSとライセンス
Forkは、macOS(10.11以降)およびWindows 7以降に対応しています。 Linux版は公式には提供されていませんが、Wine等を用いた非公式な動作例が一部存在します(保証対象外)。
ライセンスについては、次のように案内されています:
- Forkのすべての機能は、評価目的であれば無料で使用可能です(試用期限なし)
- 商用利用(個人・法人問わず)には、ライセンス購入が必要です
- ライセンスは一度きりの買い切り方式($59.99)で、追加課金はありません
全機能をそのまま体験できるため、まずは試用を通じて操作感や機能性を確認し、その価値を感じたなら作者への敬意としてライセンスを購入することも、良識的かつ健全な選択と言えるでしょう。
インストール方法(Windows/macOS)

Forkのインストール手順は非常にシンプルです。
- Windowsの場合
公式サイトから.exe
インストーラをダウンロードし、ウィザードに従って進めるだけです。 - macOSの場合
.dmg を展開し、.app
を/Applications
に移動するだけです。Gatekeeperでブロックされた場合は、右クリックから「開く」で対応できます。

初回起動時にGit本体のパスを指定する場面がありますが、ほとんどの環境では自動認識されます。初心者でもつまずきにくい設計になっています。
初心者にやさしい理由|ForkのUIと操作性

Gitに初めて触れるとき、もっとも戸惑いやすいのが「今なにが起きているのかがわからない」ことです。
Forkは、その不安を解消するために、ブランチ構造や差分、コミット履歴を視覚的に示してくれます。
見た目で流れを把握できるだけで、操作に対する安心感は大きく変わります。
とはいえ、CUIでのGit操作を避けたまま使い続けるのはおすすめできません。
Gitの構造はあくまでCUIベースで設計されており、GUIを介すことで見えにくくなる動作原理も少なくありません。
ForkはGUIとして非常に洗練されていますが、「Gitの構造を知るための補助ツール」として併用し、CUIとのバランスをとることが、初学者にとっても長期的には有益です。
直感的なリポジトリ管理

Forkでは、Gitリポジトリの状態を視覚的に整理しながら操作できます。
画面左にはローカル/リモートのブランチ、タグ、スタッシュが一覧で表示され、右側にはログビューが並ぶ構成です。
このレイアウトにより、「今どのブランチにいて」「どんな履歴があって」「次にどこへ移動できるのか」がひと目で把握できます。
ブランチの切り替えや新規作成も、リスト上で右クリックするだけ。CUIではタイポや文法に気を遣う場面も、GUIならシンプルな操作で済みます。
また、Forkは複数のリポジトリを同時に開いてタブで管理できるため、プロジェクト間の移動もスムーズ。複数案件を並行で扱う開発スタイルにも適しています。
視覚的にわかる差分表示

Forkの差分表示は非常に洗練されており、初学者にとっても直感的に理解しやすい構成になっています。
ファイル単位の変更一覧はもちろん、1ファイル内の行単位の変更内容が左右比較形式(Unified/Split)で視覚的に表示されます。
たとえば「この行が追加された」「この単語だけ変わった」といった細かい変更点も色分けされ、編集箇所を瞬時に把握できます。
さらに画像ファイルに対しても差分ビューを提供しており、スクリーンショットやUI素材の更新時に非常に重宝します。
このような差分可視化は、変更内容をレビューしたり、コミット対象を精査する際に強力な助けになります。
CUIでは git diff
を読解するスキルが求められますが、Forkなら“見ればわかる”状態に落とし込まれているのが大きな利点です。
ステージング/コミットの操作感

Gitのステージング(インデックス)概念は、初心者にとってもっとも理解しにくい部分の一つです。
Forkでは、未ステージ・ステージ済みのファイルや変更行をGUI上でドラッグ操作やチェックボックスで切り替えられるため、その概念を体験的に理解できます。
たとえば、ひとつのファイルに複数の変更がある場合でも、変更行単位で選択して部分的にコミットすることが可能です。
これはCUIの git add -p
相当の操作にあたりますが、GUIでは視覚的な選択だけで完結できます。
コミットメッセージ欄もシンプルかつ使いやすく、テンプレートや履歴の再利用機能も備えています。 また、コミット前に差分内容を確認し、不要な変更を除外するチェックも容易に行えます。
視覚と操作が密接に連動しているForkのステージングUIは、Gitのしくみを肌で感じながら正しく使っていくための助けとなるでしょう。
参考:CUIなら一連の作業はこんな感じ README.mdを更新した直後の作業の場合。

注目すべきForkの強み|Git操作の学習支援にも

Gitは一見すると単純なバージョン管理ツールのようでいて、実は非常に奥深い仕組みを持っています。
Forkは、その複雑なGit操作を安全かつ直感的に扱えるよう支援する“もう一歩踏み込んだ”機能を多数備えています。
単なる初心者用ツールではなく、学習と実務を橋渡しする「育てるツール」としての魅力があります。
Rebase UI/Conflict解決支援機能
ForkのRebase機能は、単にGUIから操作できるだけでなく、視覚的に「どのコミットがどう並び替えられるのか」を確認しながら作業できる点が大きな特徴です。
CUIでの git rebase -i
操作はやや敷居が高く、操作ミスによる履歴崩壊のリスクもありますが、Forkではドラッグ&ドロップによる並び替えや チェックボックスでのsquash/pick選択が可能です。
また、マージコンフリクトが発生した場合も、Forkは以下のような支援機能を提供しています:
- 競合したファイルが明示され、差分を3ペインで比較可能
- 変更箇所ごとに「どちらの変更を採用するか」選択可能
- 外部マージツールの呼び出し設定も可能(例:Beyond Compare、Meldなど)
これらの機能により、Git操作に不慣れなユーザーでも履歴の整理やコンフリクトの解消に自信を持って取り組めるようになります。
ターミナルとの連携

ForkはGUI操作だけでなく、ターミナル起動機能を備えており、コマンドラインと併用した作業にも柔軟に対応できます。 リポジトリのルートディレクトリを基準にしたシェルがGUI外で起動し、git
コマンドはもちろん、任意のシステムコマンドもそのまま実行可能です。
ターミナル起動と同じく Finder起動 vscode起動も選択できます。
ターミナル起動は「GUIだけではどうにも落ち着かない」というCUI慣れしたユーザーにとっても、非常にありがたい存在です。
私自身も、視覚的に全体像を確認したあとで、差分を精査したりちょっとした操作を加える際には、Fork内のターミナル起動で直接コマンドを叩くのが常です。

また、Forkは好みの外部ターミナル(iTerm/Windows Terminalなど)を開く設定も可能で、GUIとCUIの往復をストレスなく行えます。
GUIを中心に据えながら、必要なときだけCUIへスムーズに“降りられる”。この設計は、Gitの構造理解を促すうえでも、Forkの大きな魅力のひとつです。
スクリプト・Gitフック対応
Forkは、見た目のシンプルさとは裏腹に、高度なカスタマイズ性も備えています。 そのひとつが、ユーザー定義のカスタムスクリプトやGitフックの統合サポートです。
GUI上から任意のコマンドを登録できる「カスタムアクション」機能では、以下のような用途に対応できます:
- CI/CDツールとの連携スクリプトをボタン1つで実行
- 特定ブランチへのpush時に署名付きコミットを強制
- チェックアウト時に依存パッケージの更新を自動化
さらに、Gitの標準機能である pre-commit
や post-merge
といった各種フックもForkから管理可能で、設定済みのフックスクリプトは自動で検出・実行されます。
これにより、Forkは単なる操作補助ではなく、チーム開発や自動化の一端を担うツールとして活躍できます。 「Gitを使うだけ」でなく、「Gitを通じて開発プロセス全体を整える」視点でForkを活用すれば、その真価がより明確に見えてくるはずです。
他の代表的GUIツールと比較

Git GUIツールは数多く存在しますが、「初心者にとって扱いやすいか」「CUIに移行する素地を作れるか」という観点で選ぶと、候補はぐっと絞られてきます。 特に日本語環境での操作性や、ライセンス形態、操作の軽快さは、導入後の習熟スピードや満足度に直結します。 ここでは、よく比較対象に挙がる「SourceTree」と「GitKraken」との違いを、具体的な観点で整理してみます。
以下は、代表的なGit GUIツール3種を「使いやすさ」「環境対応」「導入・習熟コスト」の観点で比較した表です。
比較項目 | Fork | SourceTree | GitKraken |
---|---|---|---|
対応OS | macOS / Windows | macOS / Windows | macOS / Windows / Linux |
日本語対応 | ×(英語UI) | ○ | ×(英語UI) |
ライセンス形態 | 買い切り($59.99) | 無料(Atlassianアカウント要) | 無料(個人用途)/有料(Pro) |
動作速度・軽快さ | 高速・軽量 | やや重い | やや重い(Electronベース) |
Rebase/Squash操作 | GUIで直感的に可能 | 一部GUI対応/操作分岐多い | 可能(視覚性高いが学習必要) |
ターミナル併用 | 外部起動可 | 外部起動のみ | 内蔵あり(制限あり) |
習熟コスト | 中(視覚的だが英語) | 低(日本語+シンプルUI) | 中~高(高機能・多機能UI) |
SourceTreeは日本語対応やAtlassian製ツール(Bitbucket等)との親和性が高く、完全無料かつ導入のハードルが低い点で根強い人気があります。 ただし動作がやや重く、頻繁なアップデートやログイン要件にストレスを感じる声もあります。
GitKrakenは機能が非常に豊富で、ビジュアルに優れた履歴ビューやチーム機能を備えています。 一方で商用利用には有料版が必要であり、多機能ゆえに初学者には少し複雑に感じられる場面もあります。
Forkは高速かつ軽量な動作を保ちながら、Rebaseや差分確認といった中上級者向けの機能も丁寧に設計されているのが特徴です。 実際に日常的にForkを使っている立場から見ると、「これは本当に現場感覚に即しているな」と感じる場面が非常に多く、 自分の作業効率を徹底的に最適化しようとした人が設計したツールなのでは──という印象を受けています。
もちろん、SourceTreeやGitKrakenも同様に、現場での課題感から発展してきた経緯があるはずで、Forkだけが特別というつもりはありません。 ただForkの場合、その“必要なものだけを、必要な形で出す”という引き算の設計が、特に実務に馴染みやすいと感じます。
私自身、これまで業務効率のためにHexダンプ編集機能つきのバイナリエディターなど仕事上必要なTOOL類を、自分用に作って使用していたタイプなので、 「あ、これ作った人わかってるな……」とつい頷いてしまうんです。
Forkは、見た目のシンプルさに反して、実務へのフィット感が高く、“育てて使えるGUIツール”としての器の広さがあります。 英語UIという点にハードルがあるものの、それを補って余りある操作性と柔軟性が魅力です。
Git GUIツールは「好み」や「業務環境との相性」によっても選択が分かれますが、 初学者が将来的にCUI操作も見据えながら学んでいきたい場合、Forkはその土台を作るツールとして非常にバランスが良い選択肢といえるでしょう。
Forkの導入ステップと最初に触れるべきポイント

公式サイト(https://git-fork.com)から、自身のOSに対応したバージョンをダウンロードします。 Windowsはインストーラ(.exe)、macOSはディスクイメージ(.dmg)形式で提供されています。どちらもインストールは直感的で、数クリックで完了します。
Forkを初めて起動すると、内部で使用するGit実行ファイル(git.exeやgitコマンド)のパス確認を求められる場合があります。 通常は自動認識されますが、認識されない場合は自分でパスを指定することで解決できます。
リポジトリを開くには、メニューから「Open Repository」または「Clone Repository」を選びます。 ローカルにすでにあるリポジトリを指定するか、GitHubなどからURLを貼ってクローンすることも可能です。
開いたリポジトリでは、差分・ステージ・コミットといった操作がすべてGUIで体験できます。 まずは1ファイルを変更し、ステージングとコミットの流れを試すだけでも、Forkの操作感をつかむことができます。
よくある質問(FAQ)

まとめ|ForkはGit初心者の味方になれるか?

Forkは、Gitの複雑な操作を視覚的にわかりやすく提示してくれる、非常に完成度の高いGUIツールです。 差分の確認やRebaseなど、一歩踏み込んだ操作までしっかりカバーされており、Gitの全体像をつかみたい初心者にも、履歴を自在に操りたい中・上級者にも納得できるつくりになっています。
もちろん、「GitはCUIでこそ真価を発揮する」と考えるユーザーもいますし、それはまったくの正論です。 ですが、GUIと併用することで得られる視覚的な判断力や安心感、操作ミスの予防効果は見逃せません。 Forkはそのバランスが非常に優れており、「CUIが本流」であることを踏まえたうえで、実務で役立つGUIツールとしてしっかり設計されています。
動作は軽く、導入も簡単。買い切りライセンスで長く安心して使える点も含めて、Gitをこれから使い始める人にも、すでに使い込んでいる人にも薦められるツールです。 Forkを通して、GUIとCUIの“いいとこ取り”で、Gitの世界に一歩ずつ、確実に踏み込んでみてください。

