見た目で敬遠してた『デカ玉』、導入したら神デバイスだった話

「親指疲れから解放されたい」「でもアレは見た目が異様すぎて…」
そんな葛藤を経て、Kensington ExpertMouse(通称デカ玉)にたどり着いた筆者の実体験を紹介します。
きっかけは、些細な違和感でした。
「なんだか親指のつけ根が重い」「クリック後にじんわり痛む」。
当初は「疲れのせいかな」と軽く考えていたものの、やがて炎症が進行し、バネ指のように関節が引っかかる感覚が現れ始めます。
そう、“親指トラックボールの限界”が、確実にそこまで来ていたのです。
見た目のバイアスを乗り越えた先にあった“手の自由”とは──。

親指トラックボール難民の苦悩と限界

トラックボール愛好家にとって、「親指操作モデル」は最初の登竜門です。手のひらを動かさず、狭いデスクでも快適。LogicoolのMX ERGOやM575といったモデルは、完成度も高く多くの人に支持されています。
かくいう筆者も、MX ERGOを数年にわたって愛用してきました。
しかし、ある日ふと気づいたのです。親指だけが疲れる。
人差し指や中指ではなく、なぜか親指のつけ根がズキッと痛むようになり、それが日に日に積み重なっていく。マウスを握る握力は不要なはずなのに、「常に親指だけに負荷がかかる」構造のツケが回ってきたのです。
そして、重大なことに気づきました。
親指って、人間の手の中でもっとも繊細で、重要なパーツなのでは?
その親指を、細かいポインタ操作のために酷使し続ける設計に、ちょっと疑問を持ち始めたのです。
だが、だからといって「親指トラックボールをやめる」という選択肢は、当時の筆者にはありませんでした。なぜなら、あの“デカいボール”は、どう見てもヤバいヤツに見えたからです。
なぜデカ玉にたどり着いたのか

MX ERGOとステアーマウスの組み合わせは、長らく自分の主力でした。
ポインタの動きに対する制御性、ボタンカスタマイズの自由度、手首を動かさずに済む快適さ。
この2つのツールを組み合わせることで、自分にとって理想的な入力環境が完成していたのです。
だからこそ、親指の痛みが現れたときはショックでした。
当初は違和感だけだったのが、やがて腱に引っかかる感覚が出はじめ、専門医から「バネ指の初期症状」と診断されます。
このままではまずい──そう判断し、親指を休ませるための代替操作環境を探すことになりました。
そこで出会ったのが、KensingtonのExpertMouse(デカ玉)。
それは見た瞬間に「これは無理かも」と思うほど異形で、中央の赤い玉がどこか儀式めいて見える。
数年前の自分なら、完全にスルーしていたタイプのデバイスでした。
けれど今は、見た目よりも身体の負担を優先する時期。
完全な乗り換えではなく、MX ERGOとステアーマウスに加えて“デカ玉”を一時的に併用する──そう割り切ることで、ようやく自分を納得させることができました。
私は日頃マウスの詳細な調整のためにステアーマウスを日頃から常用しているので今回の記事では専用のカスタマイズアプリKensingtonWorksの使用感は言及していません。
Kensington SlimBlade™と迷った末に──実用性の決め手は“リング”だった

正直に言うと、最初に気になったのはKensington SlimBlade™のほうでした。
見た目はスタイリッシュだし、中央の大玉を回転させてスクロールするという“独特すぎる操作”は、どこか惹かれるものがあったのです。
──でも、そこで一歩引きました。
「あれ、たぶん慣れるまでめっちゃ苦労するやつだな」って。
しかも、スクロール操作においては回転の感覚がどうしても不安で、作業中に戸惑う未来が想像できてしまったのです。
一方で、Kensington ExpertMouseには物理的なスクロールリングが付いています。
このリングがあることで、通常のマウスホイールに近い感覚でスクロールできる。
つまり、「操作の学習コストがほぼゼロ」という安心感があったのです。
最終的な決め手は、まさにこのスクロールリングの存在でした。
変態度ではSlimBlade™が上かもしれない。
でも、自分の手にちゃんと馴染んで、長く使えるという“現実的な快適さ”を選んだのです。
「尖ったデバイス」に惹かれる気持ちはある。
でも今はまだ、そこまで行かなくてもいい。
ExpertMouseは、自分にとって“ちょうどいい変態性”だった──そんな気がしています。

ちなみにMagic Trackpadみたいにスクロールした時のスムーススクロール感ありますよね?
あれをKensington ExpertMouseでも実現したいなら下の記事を参考に!



最初にぶち当たる“違和感”

Kensington ExpertMouseを初めて机に置いた瞬間、まず感じたのは「…デカい」という素直な第一印象。
見た目で想像していた通り、MX ERGOの倍はありそうなサイズ感で、まるでキーボードの横に仏具が置かれたような存在感があります。
赤い玉も予想以上に大きく、最初はちょっと笑ってしまいました。
でも、実際に手を置いてみると、その違和感はちょっと意外な形で裏切られます。
人差し指・中指・薬指をそっと添えるように乗せると、思いのほか自然にボールが回る。
「つまむ」でもなく、「押す」でもない。
ただ“触れていれば回る”という独特の軽さと滑らかさが、意外にも心地よかったのです。
ただし、「身体の使い方の違い」には少し戸惑いがありました。
これまで親指でポインタをコントロールしていた自分にとって、主導権が人差し指・中指・薬指に移る感覚はかなり新鮮です。
さらに、Kensington ExpertMouseでは親指が完全に操作から外れる。
左下+右上のようなステアーマウスの複合スイッチを使うとき以外は、ほとんど出番がありません。
長年主役だった指が急に戦力外になることで、「この手、再編されてるな…」という違和感を覚えました。
デバイスとしての操作感に大きな問題はなくても、
“自分の手の役割分担が大きく書き換えられる”ような感覚──
それが、Kensington ExpertMouseにおける最初の「違和感」だったのかもしれません。

慣れたらもう戻れない操作感

Kensington ExpertMouseに切り替えるとき、一番の不安は「この操作に自分の手が馴染むのか?」という点でした。
しかし、実際に使ってみると──驚くほどすぐに慣れてしまったのです。
人差し指・中指・薬指をそっと添えてボールを転がす。
たったそれだけで、ポインタが思い通りに動く。
力を入れず、ただ“触れているだけ”で滑るように移動する感覚。
これまで当たり前だった「力をかけて動かす」という前提が、あっさりと崩れました。
しかも、細かい操作も驚くほど繊細。
あの大玉は見た目に反してとても敏感で、ステアーマウスとの併用によって、ピクセル単位の精度もストレスなく出せます。
指先から腕、肩に至るまで余計な力がまったくいらない。
「あれ? 自分、こんなに無駄な動きしてたんだな…」と気づかされる体験でした。
正直、慣れるまでに数日かかるんじゃないかと身構えていたけれど、
実際には数分で切り替えられてしまったことのほうが衝撃だった。
一度この操作感に馴染むと、従来の親指トラックボールに戻ったときに、
「なんでこんなに力んでたんだろう」とすら感じるようになります。
地味に最強、付属パームレストの衝撃

Kensington ExpertMouseを使いはじめて、すぐに気づくのがあの付属パームレストの存在感です。
なんてことない見た目なのに、手を乗せたときのあの「沈み込みすぎず、硬すぎない」絶妙な弾力──
これが、ちょうどいい。ほんと、ちょうどいい。
市販のパームレストって、やたらフカフカしていたり、逆に硬すぎたり、
サイズが合わなかったりと「ちょっと違うんだよな……」という微妙な不満が出がちです。
でもこの付属リストレストは、ExpertMouseの高さ・形状・手の置き方に対してピタッとハマる。
これがあるだけで、手の収まりが一気に整うんです。
なにより、買い足しや調整の必要がない。
箱から出したそのままの状態で“ちょうどいいポジション”が出来上がってる快適さって、意外とレアなんですよね。
「高いデバイスには専用の良さがある」──それを最も感じたのが、
この地味で目立たないパームレストだったかもしれません。
Kensington ExpertMouse Wireless Trackballの主な仕様
以下は、無線モデル「Kensington ExpertMouse Wireless Trackball」の主要スペック一覧です。
接続方式や電源まわりで有線版とはやや仕様が異なる点に注意してください。
製品名 | Kensington ExpertMouse Wireless Trackball(型番:K72359JP) |
接続方式 | Bluetooth 4.0 / 2.4GHzワイヤレス(USBレシーバー付属) |
対応OS | Windows / macOS / ChromeOS |
トラックボール径 | 約55mm(2インチ) |
ボタン数 | 4ボタン(上2/下2)+スクロールリング |
スクロール操作 | 回転式スクロールリング |
センサー方式 | 光学式センサー(DiamondEye™テクノロジー) |
電源 | 単三電池 × 2本(電池寿命:約12ヶ月 ※使用状況による) |
サイズ | 約130 × 160 × 50 mm(幅×奥行×高さ) |
重量 | 約430g(電池含まず) |
パームレスト | 着脱可能・標準付属 |
ドライバ対応 | KensingtonWorks™(ボタン割当・カスタマイズ対応) |
保証期間 | 3年保証 |
その他特徴 | 接続切替スイッチあり/最大2台までペアリング(BT+USB) |
さあ、あなたもいつかは“デカ玉”の世界へ──

Kensington ExpertMouse──その見た目の異様さ、置き場所の主張、そして中央で静かに輝く赤い玉。
初見で「これは無理」と思う気持ちは、正直よくわかります。
筆者自身、長年そう思ってスルーしてきた側の人間です。
でも実際に使ってみると、それはまったく別の体験でした。
親指の限界に気づき、“手”という入力インターフェースを見つめ直した末に、たどり着いた答え。
それがこの、異形のトラックボールだったのです。
もちろん、万人に合うとは言いません。
でも、「そろそろ親指に限界きてるかも」「疲れが抜けない」と感じている人にとって、
Kensington ExpertMouseは“脱・親指”の一つの出口になりうる──
そんな実感を、いまの自分は強く持っています。
このデバイスの真価は、見た目じゃない。
手の力を抜いたときに、初めて伝わってくる“操作の自由”こそが本質なのです。
見た目にビビったまま、使わずに終わるのはもったいない。
だからこそ──そのときが来たら、ぜひ一度だけ“デカ玉”を体験してほしい。
マジで快適。操作感の完成度は、トラックボールという入力デバイスの一つの到達点。
そして何より──PCまわりにそっと“変態度高めな威圧感”を醸し出したいあなたに、最高の一台です(わかる人には刺さるやつ)。

Kensington ExpertMouseに関するよくある質問
